CUSTOMER VOICE
松本機械販売株式会社 代表取締役
松本 知華 様
従業員の行動について、客観的なフィードバックを行いたいと思い、360度評価を導入しました。最初は人材育成としてスタートさせ、最近はボーナス査定の一部に組み込んでいます。組織全体の雰囲気がより良く変化しており、わかりやすく結果が出たことに大変満足しています。
360度評価の導入を考えたきっかけは、従業員の声でした。普段から、従業員一人ひとりと会話する機会が多いのですが、その中で、他の従業員に対する不満を聞くことがあったんです。例えば、「勤務態度が良さそうに見えるけれど、上司が見てないところではダラダラ仕事をしています」、「挨拶をしなかったり、きつい口調で罵ったりといった問題行動をしています」といった話ですね。その話を、指摘されている本人に伝えても、「きちんとやっていますよ、誰がそんなことを言っているんですか」と反発されて聞き入れてもらえなかったんです。この状況を改善するために、客観的なフィードバックができる360度評価を導入しようと考えました。誰か1人の陰口ではなく、「みんなはこんな風に考えているよ」と伝えた方が、本人の納得度も高まりますよね。
実施ツールとして「360(さんろくまる)」を選定した理由は、説明資料やシステムの画面がとても分かりやすかったところです。これなら初めてでも簡単に実施できると感じました。また、料金がとても安かったこともあり、「一度試しにやってみよう」と、気軽に導入を決定することができました。導入後も操作に困ったことはほとんどありません。サポートに連絡するとすぐに対応してくれて、助かっています。
評価項目は、全従業員共通に求められる挨拶や整理整頓といった勤務態度に関する要件と、営業職や技術職といった職種別の行動要件で作成しました。いろんな従業員と話しながらではありますが、作成は自分ひとりで行ったこともあって、完成までは2ヶ月ほどかかりました。従業員としてどうあってほしいか、それぞれの部署の課題を解決するにはどうしたらいいか、そういったことを考えながら作成しました。また、評価項目とあわせ、評価基準についても検討しました。5段階評価としたんですが、4と5の違いをわかりやすくするために、4は「自分ひとりでできている」、5は「周囲の人を巻き込んでできている」とするといった工夫もしました。そして、メンバーの割当についてですが、「従業員全員が全員を評価する」設定にしました。全従業員は50名程度なので、一般的な割当人数に比べると多いかもしれませんが、「評価できない相手(業務が一緒にならない、など)にはハイフンを入力してください」とすれば、結果の算出にも影響しないので、問題なく運用できています。
導入当初から、ボーナスなど人事考課への反映も考えていたのですが、初めての実施ということもあり、従業員の抵抗感が強まることが気がかりでした。そこで、まずは人材育成を目的とし、「人事考課に360度評価の結果は影響しない」、「従業員同士フィードバックしあうシステムです」といった事前アナウンスをした上で、初回実施をしました。スタートしたあとも、社内により良い形で浸透させるためには、試行錯誤がありました。初期の頃は結果をそのまま本人に返却していたのですが、コメントをかなり詳細に記載してもらっていることもあり、厳しい内容が書かれていると適切に受け止めることが難しいようでした。そこで現在は、コメント部分は管理側のみで確認し、フィードバック時にその内容を噛み砕いて伝えるようにしています。良い点を褒めることをベースにしながら、本当に改善してもらいたい点を簡潔に分かりやすく伝えるようにしています。このような試行錯誤を繰り返しながら2年ほど経ち、制度が社内にしっかり馴染んだため、最近はボーナス査定の一部に360度評価の結果を組み込みはじめました。これまでは、わかりやすく数字で評価できる業績評価のみを査定に利用していましたが、それ以外の「勤務における姿勢」も従業員には大切にしてほしいと思い、この人事考課制度を採用しています。
実施から2年が経ちましたが、従業員の問題行動は徐々に減っており、社内の風土が変わってきました。わかりやすく結果が出たことに大変満足しています。これまで「みんなやってないからやらなくていい」と思われていたことが、360度評価によってフィードバックされ、結果が人事考課にも結びつくとなると、「みんながやっているから自分もやろう」となり、組織全体の雰囲気をより良く変化させています。また、このシステムは完全に匿名で入力できるということもあり、これまで言いにくかった率直な意見も書きやすいようです。360度評価導入のきっかけともなった従業員の声を、今後も引き出していきたいです。これから、人材育成施策には力をいれていきたいと考えています。360度評価が活用できる場ももっと見つけられるかもしれませんね。