管理職とは、企業の一定の範囲において業務決定権を持つ社員です。部下の教育や指導、管理などを行います。日本企業では主に部長、課長が管理職に当たります。最近ではマネージャーやゼネラルマネージャーなどと呼ばれることもあり、明確に役職名は定められていません。管理職は今ある人材を使い、売り上げの目標達成を求められます。
管理職には具体的にどのようなものが必要になるのでしょうか。管理職の役割について解説します。
■具体的な目標設定
目標設定とは、担当している業務の具体的な目標を定めることです。目標を定めることで、業務に対しての意識が高まり効率化につながります。目標は各部門の業務データから、明確に数値を設定します。自社戦略や事業戦略を十分に理解し、組織の方向性を決めることで担当部署がまとまるでしょう。
■業務の進捗管理
業務の進捗管理をして弱点を改善します。PDCAがきちんと回る仕組みを設定することが重要です。例えば、業務の進行手順やスケジュール、KPIの設計などの管理が必要になります。特に、業務の割り振りは期間内に完了するように調整が必要です。また、管理職だけでPDCAを回した場合、仮に管理職が人事異動で抜けると対応できない可能性があります。そのため、管理職がいなくてもPDCAがまわる仕組みを作ることが重要です。
■業務への対応
既存の業務を見直します。業務をミスやトラブルなく円滑に進行することに加え、新たな変革を行うことが重要です。従来以上の成果を望むのであれば現状維持だけでなく、状況や相対する顧客・パートナーなどに応じて最適と思われる対応をとることが必要になります。
■理念、ビジョンの浸透
企業理念や経営層から提示されたビジョン、戦略を部下に伝えます。経営層が描いたビジョンを浸透させることが重要です。自社サービスが顧客にもたらすメリットや存在意義、成果を上げることで社員が得られるメリットなどを伝えます。
伝えるだけでなくコミュニケーションを取り、部下の悩みや欲求、関心事項を把握します。社員が一定の方向を向くことで組織としての成果が最大限発揮されるでしょう。
■メンバーの育成
部下の適性を見極め、経験などを把握したうえで育成プランを立てます。組織を円滑に運営するためには、部下の成長が必要です。そのため、業務の割り当て(アサイン)が重要になります。業務を割り当てする際、部下のスキルや知識など適性を考慮します。
あえて苦手な業務に割り当てることもありますが、その場合は、セーフティーネットを確保しフォローをする体制を整えましょう。
■労務管理
部下の労働日数や労働時間の管理のほか、各種ハラスメント対策、メンタルヘルスなどの管理も重要な役割です。働きやすい環境の維持や生活と仕事のバランスなどを把握し、状況に応じて労働条件の見直しや福利厚生の充実を計ります。
加えて、組織構築や人事考課、採用活動など、組織構築に必要な管理を担うこともあります。
ここでは、管理職の課題としてよく挙げられる、部下の育成、課題の設定、調整能力、自己マネジメントについて解説します。
■部下の育成が不十分
成果を上げるためには、部下のスキルや知識、経験が必要です。しかし、人材育成に注力できないと、明確な指針が示せなくなります。また、管理職の信頼不足やマネジメント不足も部下の育成が不十分になる原因です。特にZ世代(若手社員)と管理職世代との価値観の違いからコミュニケーション不足し、指導が伝わらないことも原因として考えられます。
■課題の設定が不十分
自社が抱える課題を把握できておらず明確に設定できていない可能性があります。例えば、アポイントの獲得率が低い場合、顧客の絞り込みや対応プロセスの見直しが必要です。課題設定を行うには、部下や関係部署にヒアリングし、業務の進捗状況や達成度などの情報が必須です。問題を見える化することで、はじめてマネジメントは有効に活用されます。
■調整能力が不十分
他部署や経営層と連携するための調整能力が不十分な可能性があります。調整能力に加えて、コミュニケーション能力がなければ周囲からの協力は得られません。管理職は、他部署や経営層との連携が不可欠です。調整能力やコミュニケーション能力がない場合、仕事がうまく回らずにプロジェクトが達成できないことが考えられます。
■自己マネジメントが不十分
管理職は、部下やメンバーだけでなく、自己の目標達成やタスク管理、モチベーション維持も行う必要があります。しかし、成果を上げるのに必要な業務を自身で判断しなくてはなりません。
自己マネジメントが不十分な場合、自身の業務をコントロールできずオーバーワークになり、目標が達成できないでしょう。実績評価だけで管理職に登用されると、自己マネジメント力が把握されていない可能性もあります。
ここでは、管理職に適している人と適していない人の特徴について解説します。
■管理職に適している人
管理職に適している人の特徴は次のとおりです。
・分析が得意
・経営者目線で考えられる
・コミュニケーション能力がある
・向上心がありモチベーションが高い
・先々を考えて目標設定ができる
・部下に的確に指示ができる
・自分のアドバイスによって他人が出した結果を嬉しいと感じる
分析や管理能力だけでなく、コミュニケーション能力や性格などの適性もあります。
■管理職に適していない人
管理職に適していない人の特徴は次のとおりです。
・コミュニケーションを取るのが面倒・苦手
・責任感がない
・業務を他人に任せることができない
・数値管理や調整にやりがいを感じない
各企業で求められるスキルや役割は多少異なりますが、コミュニケーション能力や責任感は不可欠です。
管理職を育てるためには何が必要なのでしょうか。ここでは、管理職を育てるための注意点を解説します。
職務や技能の明確化
管理職として行う職務や必要なスキルを明確化する必要があります。部署や役職によって必要な要素は異なるからです。具体的には裁量の範囲やそれに対しての責任の範囲などです。これらを明確にすることで、人材育成に必要な要素を取り入れることができるでしょう。
■管理職研修の活用
管理職研修を実施して知識やスキルを強化します。知識やスキルだけでなく、管理職として求められる役割を自身が自覚することができます。管理職に必要なPDCAや戦略策定・浸透、部下の育成・評価、労務管理、予算管理など、それぞれの課題にあった研修が必要です。
座学研修やワークショップ形式、外部委託などの研修もあります。管理職の経験値によって、必要な研修は異なるため、適切なものを選択しましょう。
■マネジメント経験の蓄積
管理職に就任される前にマネジメント経験を積ませましょう。未経験者を管理職に抜擢すると、適性やスキル、知識が見極められないためです。
まず、管理職の補佐役に指名し、業務の進捗管理や人材育成、部下の指導など一部の業務を任せます。管理職の業務を経験することで、候補者が管理職に適しているかが見極められます。
■フォロー体制の充実
人事や上級管理職が経験の浅い管理職をフォローする体制を整えます。一人で課題を抱え込み悩むことを防止するためです。他の管理職との面談や人事との連携などを定期的に行います。上司からフィードバックを行い、必要なノウハウを詳しく伝えるだけでなく、解決策を自分で見出せるように促す取り組みも必要です。
管理職の育成には近年注目されている360度評価がおすすめです。ここでは、人材育成に360度評価が有効な理由について解説します。
■客観的な評価につながる
360度評価では、上司や同僚、部下などさまざまな立場から、フィードバック対象者を多角的に評価するため、客観的なフィードバックにつながります。客観的なフィードバックは公平で受け入れられやすく、社員の納得感を得られます。匿名性が保たれるため率直なフィードバックを引き出すことも可能です。また、360度評価では自分自身に対しても評価を行うため内省につながります。
■人間関係がスムーズになる
上司や部下などさまざまな従業員からフィードバックされることで、自身の足りない点に気づけます。これによりスムーズな運営や人材育成が可能です。従来、人事担当者のみで行っていた評価により、気づかなかった従業員の関係性なども把握できます。
率直なフィードバックがきっかけになり、人間関係の改善やコミュニケーションにもつながるでしょう。
■自分の課題が明確になる
上司一人では気づかない課題や問題を他の従業員が見つけることで、自分の課題が明確になります。自覚していなかった問題点にも気づけるため、スキルや知識の向上に加えて、良好な人間関係を築けるでしょう。部下のフィードバックをもとに改善を行う上司を見て、信頼関係にもつながります。
この記事では、管理職の役割や課題、360度評価を取り入れるメリットについて解説しました。管理職とは、企業の一定の範囲において業務決定権を持つ社員です。部下の教育や指導、管理などを行ううえではさまざまな課題があります。
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