公務員のモチベーションが上がりにくい原因の一つに、人事評価の仕組みや長時間労働などが挙げられます。
■成果が給料と評価に反映されない
公務員の仕事に対するモチベーションが上がりにくい原因は、業務上の成果と給料が直結していないことです。仕事での成果が給料やフィードバックに反映されないため、業務で功績を積み重ねても昇進につながることはありません。そのため、コストパフォーマンスを考えて業務を行っても、結果的に損になります。
■長時間の労働が多い
公務員のなかでも、警察官・消防官や教員などは、職務の全うを最優先にするため、長時間労働になりやすい傾向があります。苦労して試験に合格して得た国家公務員の仕事も、長時間労働が原因で辞職につながるケースも少なくありません。人員の補充が困難な場合、現場で働く職員の負担が大きくなってしまいます。
■年功序列の制度
公務員のモチベーションが上がりにくい原因は、年功序列の制度が定着していることです。高度経済成長期に比べると、現在は昔ほど制度を重視する自治体は少ないものの、年功序列の慣習が残っている現場が多く見られます。部下は上司の指示に従わなければならないため、現場では職員の自主性が尊重されていません。
■クレーム対応が多い
市民による理不尽なクレームが多いことも、公務員のモチベーションが低下している原因です。公務員というだけで、職種や業務が異なる職員が起こした不祥事のクレームを受けることもあります。職務と自分を切り離してクレーム対応できれば問題はありませんが、自分自身に対する苦情だと考えてしまうと、メンタル面に不調が出やすくなります。
公務員が仕事を頑張っても無駄と思われるのは、仕事にやりがいを感じられなくても安定した給料を得られるなどの要因があるからです。
■仕事にやりがいがない
公務員はデスクワークや事務処理が主な業務のため、市民との接点が少なく、人の役に立っているという実感が得られにくいでしょう。また、業務の進め方や工程の無駄を改善しても評価につながりにくく、「改善しよう」という流れが生まれにくい傾向にあります。公務員は、市民のために働くという理想のイメージと、現場で働いてみて感じる現実のギャップが大きいといえます。
■安定した給料が得られる
業績によって給料やボーナスが左右される民間企業に比べて、公務員は比較的安定した給料を得られます。民間企業では業績を上げた人がフィードバックされる一方で、公務員の場合、慣例にならって頑張らない人の方が給料の金額が高くなるケースもめずらしくありません。このように、公務員は働かない方が得をする仕組みになっているため、頑張っても無駄と考えられています。
■人事の評価基準が明確でない
公務員の人事の評価基準は明確化されておらず、仕事の頑張りが人事評価に反映されない現状があります。公務員の人事評価は、S・A・B・C・Dの5段階評価で、Sが最も高い評価ですが、AとBのいずれかの評価を受ける人がほとんどです。問題を起こした場合でも、CやDの評価になることはありません。
希望の部署に異動できないなどの理由から、人事異動が公務員のモチベーションを低下させることもあります。
■希望の部署に異動できない
公務員は、異動先の要望を出しても、本人の希望通りにならないことがほとんどです。部下は上司から、人事異動の理由や意図の説明を受ける機会を与えられないこともあります。異動の辞令を受けた職員は、なぜ自分が配属されたのかが不明なまま新しい業務をこなさなければならないため、モチベーションの低下を招きやすくなります。
■残留するメンバーのモチベーションが低下する
モチベーションの低下は、異動の辞令を受けた職員だけではなく、既存の部署に残留し続ける人にも同じように起きています。部署で人事異動が発生するたびに、異動した職員からの引継ぎや転入者のフォローで、現場の職員の負担が増えます。一般的に、人事異動になった職員のモチベーションへの配慮はされるものの、残留する人への配慮は欠けやすいため人事担当者は注意しましょう。
■内示の口外禁止を徹底する
内示とは、非公式に人事異動の情報を一部の人に通知することです。内示が出された場合、辞令が発令されるまでの期間は口外禁止が原則です。口外禁止の期間の目安は、1~2か月程度とされています。口外禁止の期間が長くなるほど隠し事をする職員の精神的な負担が大きくなるため、モチベーションは低下しやすくなります。人事担当者は、内示を伝えるタイミングに注意しましょう。
公務員のモチベーションを維持し続けるためには、フィードバックをし合う文化づくりやマネジメント体制の見直しなどが必要です。
■頑張りやよい行動をフィードバックし合う文化づくり
公務員のモチベーションを維持するためには、職員一人一人が具体的な目標を立てて、仕事に取り組む環境を用意する必要があります。上司は、それぞれの仕事量や労働時間などを加味して、部下に目標を設定させましょう。最初から高い目標を立てずに、小さな目標を設定して少しずつハードルを上げていくと達成感を積み重ねられるため、職員のモチベーションの向上につながります。
■小さなタスクに挑戦させる
日々の業務をこなすだけでなく、小さなタスクに挑戦させるようにしましょう。職員が担当する業務に支障が出ない範囲で、責任のある仕事を新たに与え、達成感をもたせるようにします。タスクに挑戦させるだけで終わらず、成果に対してしっかりフィードバックする仕組みを構築することで、職員のモチベーションを維持しやすくなります。
■マネジメントの体制を見直す
仕事の押しつけや不公平な仕事の分担などを行うと公務員の不満につながり、モチベーションを低下させてしまいます。職員が「働きやすい」と感じられる職場環境に改善することで、モチベーションの低下を防げます。そのためには、人事担当者は職員の業務改善だけでなく、人材のマネジメントに取り組み、職員とのコミュニケーションを高めることが必要です。
民間企業でも採用されている360度評価は、公務員のモチベーションの向上に役立ちます。
■360度評価とは
360度評価は、対象者に関係する複数の人が評価する制度です。フィードバックに携わるメンバーは、上司に加えて、同僚や部下、他部署の従業員など、さまざまな立場にある人が対象です。あらゆる角度から1人の従業員を評価することから、360度評価と呼ばれています。360度評価では、社内の関係者だけでなく、取引先や顧客からの声をフィードバックの対象にするケースもあります。
■公務員に360度評価がおすすめな理由
公務員の人事評価に360度評価がおすすめとされる理由は、さまざまな立場の人の評価を取り入れられるうえに、上司が気付けないことも補完できるからです。また、フィードバックの対象者は、他者からのフィードバックをもとに、自分では気付けない強みや弱みを発見でき、自己成長につなげられます。360度評価を公務員の人事評価に採用することで、評価基準やルールを明確化できます。
■360度評価のメリット
公務員の人事評価に360度評価を採用するメリットは、フィードバックの公平性や客観性を保てることです。年齢や勤続年数をもとに評価を決める年功序列の制度に比べて、360度評価は対象者が納得できる評価を受けられます。仕事に対する頑張りが評価に反映されるため、公務員のモチベーションアップにつながるでしょう。
成果が給料とフィードバックに反映されていないため、公務員のモチベーションは低下しています。人事評価に、多方面の評価を取り入れる360度評価を採用することで、公務員のモチベーションアップが望めるでしょう。
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