360度評価(多面評価)とは、対象者の上司や同僚、部下など、様々な立場の社員が本人に対してフィードバックを行う手法です。 自己認識と他者認識とのギャップを対象者に提示することで、気づきを与えることができ、対象者の行動変容につながるのが最大の特徴であると言えます。
今回のコラムでは、360度評価を実施するにあたって生じるメリット・デメリットをご紹介します。さらに、360度評価のデメリットの解消方法についても解説していきます。
まず、360度評価には以下のようなメリットがあります。
●多角的 かつ客観的なフィードバックが得られる
360度評価では、対象者の上司、同僚、部下といった多方面からのフィードバックを受けることになります。そのため、客観的なフィードバックを得ることができます。
従来の上司からの評価では把握できなかったような、社員の良い側面が明らかになることもあります。この場合、従来の評価に対する不満の解消にも繋がり、社員にとっての評価への納得度の向上や離職率の低下につながります。また、上司が見えていなかった比較的数値の低い項目が明らかになった場合には、その社員は、上司と上司ではないメンバーに対しての態度が異なっていたということを表します。その課題に一緒に向き合うことで、態度に裏表のない人材育成を促す ことができるでしょう。
●組織全体の課題が明らかになる
ある評価項目における対象者全体の平均値が低かった場合、その項目は個人の課題ではなく、組織全体の課題であると捉えることができます。例えば、「コミュニケーションの充実」という項目の全体平均が著しく低い場合、組織として、コミュニケーションの充実を図るための対策を講じる必要性があるでしょう。360度評価の結果を参考に、組織全体としての課題を把握することで、気づきと改善のサイクルをより効果的に回すことができます。
●他者への評価を通して自身の行動を振り返ることができる
360度評価を実施することで、社員はフィードバックをもらうだけでなく、他の社員にフィードバックを与えることを経験します。この際に回答者は、他者にフィードバックすることを通して、自分自身の行動も振り返ることができるでしょう。このような機会を得ることで、対象者だけではなく、回答者も、仕事に向き合う姿勢を改善することができ、相乗効果が生まれるでしょう。
ここまでメリットをお伝えしてきましたが、360度評価には以下のようなデメリットもあります。
●談合、忖度、悪意などが発生する可能性がある
「評価する」という固い言葉にとらわれてしまうと、評価の結果を意識しすぎるようになります。その場合、同僚同士などでお互いの評価を良くしようと、談合が生じるかもしれません。また、自分の立場を気にして、上司に率直な評価ができずに忖度をしてしまったり、さらに、 社員が個人的な好き嫌いを含んだ評価をしてしまったりする可能性があります。
●回答者の工数がかかる
360度評価では、対象者1人に対して複数の回答者が存在します。そのため、1人の社員の回答対象となる人数も多くなってくる可能性が高く、社員に時間的な負担を与えてしまいます。
●評価の基準が異なるため、全員が公平に評価できない可能性がある
360度評価では、社員ひとりひとりが対象者の行動を数値で評価します。しかし、各回答者がもつ感覚や基準は異なるため、数値に偏りが生じ、公平なフィードバックを得られない可能性があります。例えば、5段階評価の場合、似たような評価理由でも、感覚の違いから、4を選ぶ人や5を選ぶ人、あるいは3を選ぶ人が出てくることもあるかもしれません。
ここまでご説明した360度評価のデメリットを少しでも解消する方法を、それぞれご紹介します。
●談合や忖度、悪意の発生を解消する方法
評価を実施する前に、「360度評価の導入の背景」や「360度評価が組織にもたらす価値」を丁寧に社員に周知しましょう。このように、評価に関わる社員全員が目的意識を持つことで、対象者本人の成長を重視することができ、談合・忖度・悪意などの発生を防ぐことに繋がるでしょう。
⇒詳しくはコラム「失敗しない!360度評価を成功させるコツ その①~実施目的の浸透~」をご覧ください
また、評価の結果を昇給賞与に結び付ける場合には、特に談合や忖度などに注意が必要です。社員が360度評価に慣れるまで実施回数を重ねていき、段階的に昇給賞与に反映させていくのが効果的でしょう。
●回答者の工数を解消する方法
回答者1人における対象者の人数を増やしすぎないようにしましょう。例えば、100人に対して回答するとなると、社員にとっては非常に時間がかかり大変です。回答画面を見た回答者がどのような印象を受けるかを、回答者の立場に立って考えると良いでしょう。人数の他にも、評価項目の数を多くしすぎないことも重要です。基本的には、15項目ほどをお勧めしています。
また、360(さんろくまる)の回答画面は非常にシンプルで使いやすいため、社員にかかる手間やストレスを削減することができます。回答の途中保存機能も備えているため、回答者が回答時間を分割でき、手間を減らすことが可能です。
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●評価基準の差異を解消する方法
例えば、5段階評価で実施する際には、それぞれの数値の基準を明確にすると良いでしょう。例えば、4は「自分でできている」、5は「できていて、かつ他者にいい影響を与えている」などと定義すると、回答者が4と5の区別をしやすくなるでしょう。
その他にも、360(さんろくまる)では、別途料金のカスタマイズにて、回答結果の甘辛を補正することができます。これにより、評価の「甘すぎる」「厳しすぎる」といった、回答者による甘辛の差を独自のロジックにて補正し、回答者による結果のばらつきを防ぐことができます。