360度評価は、多方面からのフィードバックで気づきを与え、成長に繋げるために有効な手段として多数の企業に導入されています。しかし、使い方によっては上手くいかず、形骸化してしまうというケースがあるということも事実。より効果的に運用するためには、これらの注意点をしっかりと把握しておくことが重要です。今回は前回のコラムに引き続き、評価後の対応におけるある失敗例をもとに、360度評価を成功させるためのアクションをご紹介します。
前回のコラム「360度評価を成功させるコツ その①~実施目的の浸透~」はこちら
B社は社員の能力開発を目的として360度評価を導入し、無事に実施期間を終え、結果帳票を評価対象者それぞれに配布しました。しかし、配布後、結果についての面談を対象者に実施しませんでした。
その結果、対象者は第三者からの適切なアドバイスやサポートを得られずに、「自分はちゃんとやっているのにおかしいだろう」という他者否定の感情や、低い評価に対して「精神的に傷つくなぁ」という自己否定の感情に陥ってしまいました。これが社内の雰囲気にも影響し、360度評価の効果が上手く発揮されないという結果となってしまいました。
上記のような結果は、非常にもったいないですよね。このような状況を改善するためにも、社員の手に結果が行き渡った後には、評価を受けた各対象者との振り返りの面談を徹底しましょう。面談によってさらなる気づきを得て、より効果的な行動改善に繋げることができるはずです。さらに、「評価を受ける」といった、場合によってはネガティブな気持ちを招く可能性があることに対する精神面のケアにも繋がります。
「360(さんろくまる)」の結果シートは、
①評価項目ごとの自己評価・他者評価・全体平均
②①を棒グラフで表したもの
③周囲からのコメント
の主に3つで構成されています。
次章では、効果的な面談の進め方についてご紹介します。
いざ面談を実施するとなった際に、面談者が心がけるべきポイントを①「大切にするべきマインドセット」と②「何をどのように伝えるか」の2つに分けてご紹介します。
①大切にすべきマインドセット
・「聴く」を意識する
なるべく対象者から言葉を引き出すことを意識しながら進めましょう。
・事実か意見かを明確にする
「事実」(実際の数字や評価、コメント等)と、面談者自身の「意見」を明確に分けて伝える努力をしましょう。
・慣れる
最初の面談から的確なアドバイスを行える人はほとんどいないことを認識し、何度も経験をすることでコツを掴み、相手の成長に繋がる面談にしていきましょう。
②何をどのように伝えるか
・目的を伝える
まず、評価の利用目的はもちろん、面談の時間が何の目的のもとに設定されているかを伝えましょう。
・ギャップとその理由を聞き出す
個人結果シートを参考に、自己評価と他者評価に大きなギャップがある評価項目は何か、またそのギャップがなぜ生まれていると思うかを、まずは対象者自身の言葉で聞き出しましょう。
・ネクストアクションを検討する
ギャップを埋めるための具体的な改善を検討しましょう。その際に、実施側が一方的に指示するのではなく、できるだけ対象者自身に決めさせることを意識しましょう。
面談を行うにあたって、以上のようなポイントを心がけることで、さらなる気づきからより効果的な行動改善に繋げることができるはずです。
実際に面談を行う場合、一人の面談者が複数人を担当する場合もあるかと思います。そんな時に便利なオプションとして、当サービスでは、「Webフィードバック閲覧設定機能」をご準備しています。個人結果シートを、対象者本人のみならず、その上司などの面談担当者もシステム上で閲覧できるよう、設定できる機能です。評価の対象者やその面談担当者の人数が多い場合に、面談までの流れをスムーズに行うことができるようになります。
Webフィードバック閲覧設定機能の詳細は機能ページから
今回は、360度評価の「評価後の面談」における失敗例と成功のコツをご紹介しました。面談によるアフターサポートで、360度評価をより効果的に運用いただければ幸いです。今回ご紹介した内容以外にも、評価後の面談に活用できる情報や資料を提供することが可能です。
少し話を聞いてみたい!という方はお気軽にこちらよりご連絡ください。